

2026年4月21日(火)東京・大手町にて、FMCGメーカー様を対象とした初の自社開催イベント「著者と語る、トレードマーケティング実践!座談会」を開催しました。
当日は、食品・飲料メーカー等のマーケターの方々や事業開発に関わる方等がご参加くださいました。(ご参加ありがとうございました!)
アットホームな雰囲気の中、参加者の皆さんが日頃実務で感じていらっしゃる課題や疑問を登壇者/著者である井本悠樹とともに解消していく、インタラクティブな会となりました。今回はその模様をお伝えします。
バイヤーを動かす2つの要素「売りたいか」「売れるのか」
冒頭、井本と参加者の皆さんの自己紹介やリアルな課題感(参加動機)の共有があった後、トレードマーケティングの基本を学ぶセッションへ。
前半のテーマは、トレードマーケティングの核心である「バイヤーインサイト」と「ショッパーインサイト」の言語化です。
トレードマーケティングが最終的に目指すのは、「店内のタッチポイントの量と質を上げること」と「ショッパーコミュニケーションの量と質を改善すること」の2点に尽きます。そして、その意思決定を担うバイヤーの心理(バイヤーインサイト)を理解することが重要だ、と井本は話します。

バイヤーが無意識に「採用したい」と思うきっかけは、「売りたいという動機(売りたいか)」と「売れると信じられる根拠(売れるのか)」の2つに集約されます。
特に「売りたい動機」について、メーカーが語る「売上」と小売が捉える「売上」には2つの違いがあると指摘。1つは、個別のブランドではなく「カテゴリー全体の売上」を重視する点。もう1つは、売上を「客数×客単価」で分解して捉えている点です。メーカーからの提案が、この客数や客単価の増加にどう貢献するかが伝わらなければ、バイヤーの採用動機には繋がらないと解説しました。
次に「売れる根拠」について、井本は言語化の重要性を説きます。例えば、テレビCMを大量投下すると商品が採用されやすいのは、投下金額の大きさではなく、バイヤーが過去の経験から「売れる」と解釈できるためです。バイヤーが解釈できない施策は、たとえ大規模なものであっても「売れる根拠」にはならず、言葉足らずになってしまうと指摘しました。
では、どうすれば売れる根拠を伝えられるのか。まず過去の成功事例といった「ファクトの提示」が有効だとします。しかし、それだけでは「都合のいい結果」と見なされる可能性があるため、なぜそのファクトが生まれたのかを説明する「インサイトの言語化」が不可欠だと強調。なぜその施策で売上が上がったのか、その背景にあるショッパー心理までを補完することで、バイヤーの納得度(腹落ち)が格段に高まると述べました。

なぜか買ってしまうには理由がある。ショッパーの脳内に迫るコミュニケーション術
セッションの後半は、「ショッパー」の領域へ。店頭で「思わず買ってしまう」を生み出すための、行動経済学に基づいた具体的なコミュニケーション手法が明かされました。
まず、「ショッパー(購買者)」と「コンシューマー(消費者)」の違いを明確に定義。同じ人間でも、消費する際のニーズは普遍的(コンシューマー)であるのに対し、購買する際のニーズは場所や状況によって多様化する(ショッパー)と説明します。例えば、街中のバラエティストアでは、宝探しのような購買体験が期待されるため雑多な陳列が「楽しい」と感じられる一方、郊外のスーパーで同じことをすれば「買いにくい」と評価されるように、店舗への期待値によって購買者の心理は大きく異なると解説しました。

では、どうすれば「思わず買ってしまう」非計画購買を誘発できるのか。井本は、そのパターンの一つとして「想起購買」を挙げました。これは、店頭で商品を「思い出して」買う行動です。例えば、広告を見て「いつか買おう」と思っていた商品を、店頭でその広告ビジュアルを目にして思い出し、購入に至るケースが「広告想起購買」にあたります。そのためには、単に商品を並べるだけでなく、広告で使われたタレントやアイコンを店頭でも示すことが重要だと述べました。
さらに、「ブランドサインポスト」という概念を紹介。これは、消費者がブランドを認識するための目印(色、形、ロゴなど)を指します。店頭でこのサインポストを効果的に提示することで、視認性を格段に高めることができると説明。特にタレントを起用している場合、人間の脳が強制的に注意を向けてしまう「顔」や「目」を販促物に使うことで、ショッパーの視線を獲得しやすくなると語りました。

セッションでは、他にも、店頭コミュニケーションの秘訣やカテゴリー成長戦略の重要性などが語られ、参加者と深いディスカッションがなされました。
とりわけ、トレードマーケティングという領域を情熱で切り拓こうとする、井本の熱いメッセージが印象的だった今回の座談会。参加者の皆さんにとって明日からの業務のヒントになるだけでなく、ご自身の仕事の価値を再発見するきっかけとなっていましたら幸いです。
次会は、6月23日(火)に開催決定!詳細は近日公開予定です。


