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Insights2026年01月27日

CESとNRFから紐解く、国内リテール業界の展望とフェズの2026年

# Management Message# マーケットトレンド# 生成AI
CESとNRFから紐解く、国内リテール業界の展望とフェズの2026年

世界最大級のテクノロジー見本市「CES」、そして世界最大の小売業の展示会「NRF」。毎年、世界の最新トレンドが示されるこれらのイベントは、2026年の年明け、共通して一つのテーマに染め上げられました。それは「AIの加速」です。

テクノロジーの進化は、私たちの社会、ビジネス、そして消費のあり方を根底から変えようとしています。今年のCESとNRFから見えた大きな潮流と、フェズの注力ポイントについて、代表の赤尾に聞きました。

AIがほぼ新入社員と同じように、優秀な中途採用として入ってくる

ー今年のCESとNRFから、どのような潮流を感じられましたか?

CESとNRFに共通していたのは、言うまでもなく「AIが加速します」ということで、ほぼ一色でした。CESでは物理的な世界で動く「フィジカルAI」の進化が、NRFでは業務プロセスをAIがこなしていく「エージェンティックAI」の進化が、それぞれのモデルケースとして語られていた印象です。

AIはもはや実験段階ではなく、業務効率化はもちろんマーケティングや顧客体験を支える前提インフラとして実装段階にあります。一方で、競争力の源泉は人・文化・顧客理解であると強く感じています。

―フィジカルAIとエージェンティックAI。この2つのAIの進化は、私たちの社会や働き方にどのような変化をもたらすのでしょうか。

まず大きな流れとして、仕事の中にAIが組み込まれていくことが加速します。例えばマッキンゼーが2.5万のAIエージェントを組織の仕組みに組み込むといった話があるように、AIを「人」としてカウントしていく動きが始まっています。

最初に業務プロセス的な部分は、エージェンティックAIが担うことで効率が上がっていく。そして次に、工場のオートメーションや車の自動運転、ドローン配送といった「フィジカル」な領域にAIの活用が広がっていく。この両輪がどんどん加速していくのです。

そうなると、社会全体の考え方として「AIに仕事が取って代わられるか」という議論よりも、「今の業務の中にAIという従業員が何人入ってくるか」という視点に変わっていきます。AIは、いわばどの会社も選別されることなく採用できる「優秀な中途採用」のような存在になる。これまでは優秀な人材を各社が取り合っていましたが、これからはどの会社も優秀なAIを導入できる。だからこそ、そのAIをどう活用するための業務プロセスを設計するのか、どう組み込んでいくのか、そこへの投資の仕方が問われる時代になる。これは非常に大きな転換点だと感じています。

情報の入り方が、一方通行ではなく完全にクロスしている

―AIの活用設計が企業の競争力を左右する時代になるのですね。一方で、消費者側の行動にはどのような変化が起こるとお考えですか?

消費の文脈では「信頼」がより重要になっていくと感じます。かつてはマスメディアが情報の非対称性を持ち、テレビなどが発信する情報が大きな信頼性を持っていました。しかし今や、SNSなどを通じて信頼する個人の考えに触れたり、情報がクロスで入ってきたりすることで、マスメディアが発信する情報よりもSNSの発信の方が早い場合や、一方通行の情報に偏りを感じる場合も生じています。

Googleはこれを「情報ドリフティング」と表現していましたが、情報がメディアから一方的に流れてくるのではなく、様々な情報が漂いながら混ざり合っている。人々がどの情報をどういう経緯で取得しているのかすら分からない社会環境になっているのです。

―情報源が多様化し、信頼の拠り所が変わっていく中で、消費者の購買行動はどう変わるのでしょうか。

AIがより個人に最適化され、消費者が自発的に選ぶ消費に変わっていくでしょう。手元で様々な情報を検索し、自分のエージェントのようにAIとコミュニケーションを取りながら、買うものを決めていく。テレビCMで見たから買うのではなく、自分が能動的に情報を集めて納得して買う、という行動が主流になります。

これは、数年前から言われてきた「信頼経済」への移行が、より角度を増して加速することを意味します。広告やテレビが言うからではなく、自分が何を信じるか、トラストできるものに共感を覚えて商品を買っていく世界です。

棚の前でブランドスイッチが起こる。メーカーはユーザー視点に加えてユーザー評価を軸に商品開発をする時代へ

―「信頼経済」が加速すると、具体的にどのような現象が起きてくるのでしょうか。

すでにUberやAirbnbといったサービスは、個人の信用のスコアリングによって成り立っていますよね。これが、より日常的な買い物にも広がっていきます。

例えばフランス発の「Yuka」というアプリは、食品や化粧品のバーコードをスキャンすると、栄養素や添加物、健康リスクなどがスコア化されて表示されます。そこには広告の要素が一切ありません。消費者は、小売店の棚の前で、客観的な情報に基づいてブランドスイッチを起こすようになるのです。あるブランドを目指して来店しても、Yukaでスコアを比較して、より評価の高い別の商品を選ぶ。これは、メーカーがユーザーの声や評価を無視しては商品開発ができなくなることを意味します。

さらに、WalmartやTargetといった大手小売も、自社のECサイトでのレビュー評価をオフラインの店舗にも反映させ始めています。ECで評価の高いものが上位に表示されるのと同じように、実店舗でも評価の高いものが棚の良い場所に並ぶようになる。そうなると、小売の評価がメーカーの棚取りに直接影響を与えることになり、これまでのようなメーカー様のディベートや広告量の投下で棚取りが決まるという考え方自体が大きく変わってくるでしょう。

店頭の品出しはAIがやり、ロボットが棚を巡回する世界に

―フィジカルAIの進化も大きなテーマとのことでしたが、これは小売の現場をどのように変えていくのでしょうか。

日本の社会が受け入れるまでの時間軸はありますが、長い目で見れば、駅で人が切符を切らなくなったのと同じレベルの変化が必ず起こります。例えば、今は人手不足で大変な店頭の品出し業務も、10年後には倉庫から自動レーンで商品が運ばれ、欠品情報に応じて棚に並ぶ世界になっているのではないでしょうか。

また、日々の店頭の棚状況を把握するのは大変ですが、これも低コストのロボットやドローンが店内を巡回すれば、あっという間にデータ化できます。メーカーが長年抱えてきた「CMは流れているが、店頭の状態が分からない」という課題が、ついに解決されるのです。

―その未来において、フェズにはどのようなビジネスチャンスがあると思われますか。

フェズが今からフィジカルAIのロボットやレーンに投資するのは、現実的ではありません。そこは巨大な資本を持つプレイヤーが担うでしょう。

フェズはその先、ロボットによってデータ化された店頭の状況と、我々が持つID-POSデータ、そしてこれまで取り組んできた施策の情報を一元管理し、メーカー様の売上に貢献するサービスとして提供していく。この領域には非常に大きなチャンスがあると考えています。

AIにはトレードオフや確率の低い意思決定はできない。そこに人間の価値がある

―AIが進化し、データが民主化されていく中で、「人間」や「組織」の価値はどこに見出されるべきでしょうか。

戦略的に物事を考える、といった思考レベルでの差は、今後どんどん極小化していくに留まらず人間を凌駕する前提で考えるべきです。先ほど申し上げた通り、AIは「誰でも採用できる優秀な人材」になります。AIをいかに早く仕組みに組み込んでいくかがポイントです。

その上で、人間にしかできない価値は「意思決定」と「実行」の力にこそ宿ると考えています。AIはいろんな情報を整理してくれますが、例えばトレードオフになるような意思決定や、成功確率が低い未来への投資といった判断はできません。例えば、ベンチャー企業が「データによって今の市場を変えます」と宣言するのは、確率論で言えば失敗する可能性の方が高い。こうした意思決定は、人間にしかできないのです。

そして、意思決定以上に差がつくのが「実行」です。成功確率が低いけれど可能性があるものに対して、組織全体で実行していくことは非常に難しい。「本当にできるのか?」という心理的な壁が立ちはだかるからです。AIがどんなに未来を予測しても、今起きていないことに対して、ビジョンを掲げ、人を動かし、やり遂げていく事は難しい。組織として意思決定し、実行しきる力こそが、AI時代における本当の競争力の源泉になると確信しています。

フェズが持つデータの“保有価値”を“累積価値”に変えていく

―最後に、これらの大きな変化を踏まえ、フェズは2026年、どこに注力していくべきだとお考えですか。

大きく3つのポイントがあると考えています。

一つ目は、AIを「採用できる優秀な人材」と捉え、我々の業務にどう組み込んでいくかの準備を本格化させることです。どの業務をAIに任せるのか、そのための要件定義を人の採用と同じレベルで考え、人にしかできない領域に人間の能力をシフトさせていく。この発想で組織全体の人員設計や業務を見直していく必要があります。

二つ目は、5年後、10年後という長い時間軸で社会がどう変化するかを見据え、我々のサービスのロードマップを再設計することです。店頭の品出しが自動化される未来を前提としたとき、フェズの「Urumo Ads」や「Urumo BI」、ラウンダー事業やサイネージ事業はどのように進化すべきか。社会実装の未来から逆算して、今やるべきことを考えていかなければなりません。

そして三つ目は、我々が持つ購買データの「保有価値」を、信用の仕組みを組み込んだ「累積価値」へと進化させることです。データを保有しているだけでは、いずれ価値は薄れてしまいます。データを活用して多くの施策が実行され、評価され、購買という事実が積み重なっていく。この「累積価値」をAIも活用しながら構築していく。これができれば、強固な参入障壁を築くことができるはずです。

マーケティングの世界では、個人の信頼や購買に近いデータの世界が主戦場になります。フェズがやってきたことは、まさにその流れの中にあります。これから訪れる大きな変化の波を捉え、データの価値を最大化することで、この領域をリードしていきたいと考えています。

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