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Knowledge2026年02月10日

ブランドマーケティング担当者のための、実践!トレードマーケティング講座(3回シリーズ)

第2回 「トレードマーケティング」のABC〜何からやればよいですか?~

# マーケットトレンド
ブランドマーケティング担当者のための、実践!トレードマーケティング講座(3回シリーズ)

ブランドマネージャーがトレードマーケティング担当に任命されたら、まず何から手をつけるべきなのか?
トレードマーケティング成功の鍵は何か?

「ブランドマーケティング担当者のための、実践!トレードマーケティング講座」第1回では、トレードマーケティングの基本から、なぜ今、ブランド成長にトレードマーケティングが必要不可欠なのかを解説しました。

今回(第2回)は、トレードマーケティングを担当することになったら最初にすべきこと、そして社内でプロジェクトを推進する際に気をつけるべきポイントについて、書籍「トレードマーケティング 売場で勝つための4つの実践」(2024年2月、宣伝会議)の著者であるフェズの井本悠樹が解説します。

バイヤーが欲しいと思うメカニズムは2つの軸でできている

―早速ですが、ブランドマネージャー・ブランドマーケティング担当者の方が「トレードマーケティング」をやらなければならなくなった時、まず何から始めるべきでしょうか?

これはよくある質問ですね。トレードマーケティング担当に任命された方が、まず最初にすべきことは2つあります。

前提として、バイヤーが「この商品が欲しい」と思うメカニズムは、「売りたいか」と「売れるのか」という2つの軸で成り立っているんです。

―「売りたいか」と「売れるのか」、ですか。

はい。この2軸はものすごく大事で、ブランドマーケターもこれを理解しないと、正しくブランドを作ることができません。

まず「売りたいか」というのは、バイヤーにとって「課題を払拭してくれる」という期待感があるかどうかです。具体的に言うと、バイヤーが担当しているカテゴリを伸ばすために、どのレバーを動かすべきかが明示されていて、それに対するソリューションとして自社の商品が位置づけられているか、ということです。

―カテゴリを伸ばすためのレバー、というと?

例えば、売上は「客数」と「客単価」に分解できます。さらに客数は「来店客数」と「買い上げ率」、客単価は「購入点数」と「平均単価」というように、方程式として要素分解ができます。

このとき、バイヤーが「客数」に困っているのであれば、客数を増やすための施策を提案すべきでしょう。もし「客単価」に困っているなら、客単価に貢献する施策があるかどうかが、バイヤーが「売りたい」と思う動機に直結するわけです。

つまり、売上要素を分解したときに、どの要素にテコ入れをすればカテゴリ全体が、ひいてはバイヤーの担当部門が成長するのか。それを直感的に提示できているかどうかが、「売りたいか」を刺激する上で最も強いポイントになります。

「なぜ売れるのか」をインサイトで語る

―なるほど。では、もう1つの「売れるのか」についてはいかがでしょうか。

「売れるのか」は、文字通り「売れると信じられるかどうか」という話です。よくメーカー様は「調査で80%の人が『買う』と答えました。だから売れるんです」と言ってしまいがちです。

でも、小売の方々はそれを信じていません。どのメーカーも自社の商品がナンバーワンだと言いますから。

―確かに、自社の調査結果だけでは説得力に欠けますね。

重要なのは、「なぜ80%という結果が出たのか」という背景、その「なぜならば」の部分です。

例えば、「今の消費者はこういう思考を持っています」とか、「最近よく言われる『タイパ(タイムパフォーマンス)』という考え方が、こんな行動変容を起こしているんですよ」といった、ショッパーや消費者の行動の背景にある理由をちゃんと伝えてあげる。これが「売れるのか」を証明する上で非常に大事なんです。

商品が良い結果を出したという事実だけでなく、「なぜその商品が売れるのか」「なぜその商品が店頭で動くのか」という「なぜ」を、インサイトに基づいて語ってあげる。施策でも、商品でも、マーケティング活動でもすべて同じです。売れる理由をインサイトで語ることが重要です。

自分たちの商品がカテゴリの売上レバーのどこに効くのかを明確にする

―では、これらを踏まえて、具体的にやるべきことを教えてください。

1つ目は、「売りたいか」の観点です。

自分たちが持っている商品が、単純に売れる・売れないという話ではなく、「何の価値に貢献するのか」を明確化することです。

―「モノを売るのではなく、コトを売る」ということでしょうか。

その通りです。特にトレードマーケティングにおいては、この商品自体が良いですよ、と売り込むのではなく、「この商品は若年層の新規顧客獲得に効くデザインやプロモーションになっているので、バイヤーが困っている若年層の客数拡大という課題に使ってください」というように提案します。

自分たちの商品が、カテゴリの売上レバーのどこに効くのか、どこに効かせるべきなのかを明確に定義する。これが最初にやらなければいけないことです。どうしてもブランド担当者は「この商品」を主語に考えてしまいがちですが、商品がもたらす「カテゴリにとっての価値」を考えることがスタートポイントです。

そして2つ目が、「売れるのか」の観点を強化するために、インサイトの言語化をすることです。

―インサイトの言語化、ですか。

はい。新商品が高評価を得たなら、「なぜ高評価を得られたのか」。デジタル施策をやるなら、「なぜやるのか。消費者は今こういう行動変容を起こしているからです」。店頭施策がうまくいったなら、「なぜ売れたのか」。

この「なぜ」の部分をもっともっと言語化して、商談資料に落とし込んでいくだけで、営業現場は自信を持って商品を売れるようになります。

―まずはユーザーのインサイトを深く理解することが大前提にある、ということですね。

ただ、今のマスメーカーの多くは、オフライン流通での販売が9割以上を占めています。店頭に並ばなければ、お客様が商品を手に取る機会すらない。

メーカーと消費者の「Win-Win」だけを考えていても、消費者に商品は届けられないんです。小売という存在を含めた「Win-Win-Win」を意識しないと、結果的にお客様に商品は届かない。この事実を受け入れなければならない段階に来ているのだと思います。

営業と会話をすることが1番重要かもしれない

―次に、社内でトレードマーケティングのプロジェクトを進める担当者が気をつけるべきことは何でしょうか。

これは非常に実践的な話になりますが、「営業と会話をすること」が一番重要かもしれません。ブランドマネージャーは営業と距離があったり、あまり話したことがなかったりする人も多いと思います。

先ほどお話ししたバイヤーインサイトは、抽出するのが非常に難しい。営業担当者ですら、どうやって抽出したらいいか分からない、と言うくらいです。社内で待っていても、バイヤーが何を考えているかなんて情報は絶対に来ません。

―まずは営業と接点を持つことが大事だと。

はい。ただ、もう1つ気をつけなければいけないのは、「ファクト」と「インサイト」は全く違うということです。

営業から出てくるファクトを鵜呑みにするのではなく、なぜバイヤーはその意思決定をしたのか、というところまで聞いてもらう必要があります。

例えば、企画品がなぜ導入できなかったのかを営業に聞くと、「競合の商品が出てきて、そっちに負けちゃったんだよね」という答えが返ってきたとします。そこで「そうですか」と終わってしまっては、何も次に繋がりません。

重要なのは、「なぜ競合に負けたのか」という事実を深掘りすることです。そこには、バイヤーが自社と競合の商品を天秤にかけ、競合を選んだという意思決定がある。つまり「売りたい」と思える動機が相対的に弱かったり、相対的に「売れるかも」と信じられる理由が弱かったから、負けたということなのです。だから、単に表面的なファクトを聞くだけではなく、何が比較され、何が負けたのかを理解することが重要なんです。

バイヤーを消費者だと思って、深掘りする

―マーケターの方々が消費者のインサイトを探るのと同じアプローチですね。

まさしくその通りです。バイヤーを「一人の消費者」だと思って、その意思決定の奥にあるものを深掘りしてほしいんです。

消費者が「眠気を覚ましたいからスタバでベンティサイズのコーヒーを買う」と言っていても、その裏には「スタバのカップを持っている自分が好きだから」というインサイトが隠れている場合がありますよね。

それと同じで、バイヤーが「競合の方が良かったから」と言うのは、まだ表面的な理由でしかありません。マーケターであれば、調査などを通じてインサイトを捉える実践をしているはずです。そのスキルを、バイヤーに向けて使ってほしい。それができれば、ブランドマーケターにもバイヤーの意思決定の軸が見えてくるのではないでしょうか。

―とはいえ、メーカーのマーケターがバイヤーに直接会う機会は少ないですよね。

そうですね、それは難しいと思います。だからこそ、営業担当の方々と話したり、営業企画の方々に話を聞きに行ったりすることが大切になります。

トレードマーケティングを営業の戦略の核に入れる

―トレードマーケティングに先進的に取り組んでいる企業はありますか?

私が以前勤めていた外資系メーカーでは、カテゴリの成長を軸に動いているという観点では、確かに先進的で強い土壌があると思います。

他にも、某飲料メーカーさんや某菓子メーカーさんなどは、トレードマーケティングを非常に高いレベルで実践しようとしています。

某飲料メーカーさんは、上位の得意先との取り組み会議で使うトレードマーケティングの「型」を一緒に構築しています。それをベースに商談や資料作りなどを進め、徐々に手応えも出てきているようです。

また、某菓子メーカーさんはトレードマーケティングを営業戦略の核に据えるべく、全社で理解・浸透に取り組んでいます。

―具体的にはどのようなことをされているのでしょうか?

企業の課題感によってアプローチは様々です。ある企業では、営業現場だけでは商品の「価値」を語りきれないため、本社の担当者が商談資料の前段に入る価値定義の部分を担う、といった協業体制をとっています。

また、ある企業では、まずはトレードマーケティングの定義や考え方を全社で理解するところから始め、複数回の研修を実施し、浸透や実践に努めています。

理想は、トレードマーケティングを担う部署が企業の「ブレイン」となり、その戦略が営業現場まで浸透している状態です。先進的な企業では、トレードマーケティング部門がブレインとして機能し始めていたり、あるいは営業組織全体がトレードマーケティングの視点を持って活動していたりします。

―最後に、この記事を読んで下さっているメーカーのマーケティング担当者の皆さまへメッセージをお願いします。

トレードマーケティングは、単なる販促活動ではありません。小売の課題を解決し、カテゴリ全体を成長させることで、自社ブランドの成長に繋げる戦略的な取り組みです。

その第一歩は、バイヤーの意思決定のメカニズムである「売りたいか」「売れるのか」を深く理解すること。そして、自社の商品がカテゴリのどの売上レバーに貢献できるのかを定義し、「なぜ売れるのか」をインサイトで語れるようになることです。

営業の方々との連携を密にし、バイヤーという「消費者」を深く知る努力を続けていけば、必ず道は拓けるはずです。

ーーー

さて、次回はシリーズ最終回。「トレードマーケティング」に関する疑問・質問に、井本が答えます!
・トレードマーケティングにご興味をお持ちのメーカー様
・実際に始めてみたけれど、どうすればよいかお悩みをお持ちの担当者様
是非、
<こちらのフォーム>からご質問をお寄せください!(ご質問受付締切:2026年2月27日)

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