新生堂薬局のDX推進部長に聞く、リテールDXの先にある「地域一番のヘルスケアステーション」とは

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新生堂薬局のDX推進部長に聞く、リテールDXの先にある「地域一番のヘルスケアステーション」とは
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こんにちは。広報の真鍋です。

8月、フェズの新卒メンバーが福岡市に本社のある新生堂薬局様にお邪魔し、丸一カ月、店舗業務やデータ分析業務などを経験させていただきました。
今回のFEZ LOGでは、新卒研修にご協力下さった株式会社新生堂薬局 DX推進部 部長の畑島大志氏に、研修受け入れの背景から同社のDX推進戦略まで、お話を伺いました。

(写真左:DX推進部 部長/畑島大志様、右:営業戦略部 広報担当/金子芽依様)


新生堂薬局流、リテールDX推進の極意

真鍋:
御社と弊社は2021年2月より業務提携させていただき、リテールDXに関する取り組みをご一緒させていただいています。
改めて、当時どのような課題感をお持ちになっていたか、フェズをパートナーにお選びいただいた背景についてお聞かせください。

畑島様(以下敬称略):
実は、フェズさんとは設立(2015年)より前、伊丹さんがGoogle社にいた頃からのお付き合いなんです。
当時から、日々溜まっていくデータを活用してお客様に還元できるようにしたいという課題感を持っていました。ここ数年で〇〇Payといった様々な決済方法や取り扱い商品が増え、益々データの種類も増加しています。
一方で、社内にはデータの分析や活用に詳しい人材がおらず、自力で課題解決していくのは難しいと感じていました。そんな中、伊丹さんがまさに私たちの課題を解決してくれる会社を創業されて。

真鍋:
設立前からのお付き合いだったとは、驚きました。ちなみに、当時の伊丹の印象は?

畑島:
伊丹さんは、20代の頃からいい意味で今と変わらないですね。起業すると聞いたとき「なるほど!やはり!」と思いました。同い年ということもあって、すごく嬉しかったです。
リテールのことも、メーカーのことも、データのことも分かっている人が立ち上げた会社だからこそ、伴走してくれるという安心感があり、お客様への提供価値を最大化するための考え方が一致していることもあって提携しました。


真鍋:
なるほど。今回の研修も、長年の繋がりからお引き受けくださったのですね。ありがとうございます。
データを活用してお客様に還元できるようにされたい、という課題感について、具体的に教えていただけますか。

畑島:
特に、広告費については、お客様に不誠実なお金の流れがあると感じています。
メーカーさんの広告費は、商品の価格に上乗せされているわけですから、結局はお客様(消費者)が負担していることになります。
しかし、これまでは広告がどの程度実購買に貢献しているか検証できず、効果がわからない広告に多額の費用がかけられてきました。さらに、昔と比べてテレビを見る人自体が減り、テレビCMを見てお客様の心が動きモノを買うということはすごく減ったと思うんです。

データを活用して広告の効果検証ができるようになれば、適切な人に適切な金額で適切な広告が出せるようになる広告費の適正化によって、より良い商品が開発できたり、ポイントの付与や商品割引などの販促施策が可能になったりして売上アップにも繋がっていきます。これって、お客様にもメーカーさんにも私たちにも幸せですよね。

真鍋:
まさに「Urumo Ads」のコンセプトそのものですね。
御社内で課題解決に取り組むには、どのようなハードルがあるのでしょうか。

畑島:
ドラッグストアで働くメンバーは、多くが薬剤師さんやコミュニケーションが好きな接客向きの人材です。データ分析の専門人材とは適性や志向が異なるので、社内だけで推進していくのはなかなか難しいですね。いきなりデータサイエンティストを採用しても、現場感覚がないと適切なデータ分析や活用は難しいですし、受け入れ体制まで整えるにはノウハウや大きな投資が必要になります。


真鍋:
畑島さんご自身は、これまでどのようなキャリアを歩まれてこられたのですか?

畑島:
店長を経験した後、営業戦略部に移って販売促進に携わりました。その後、マーケティング部門でデータ分析や技術的なことを全て担当するようになり、2年ほど前にDX推進部門を立ち上げました。

私自身、元々数字が好きとか分析が得意というタイプではなくて(苦笑)でも、気合と根性で何とかなる時代はすでに終わっていて、正しいことをやろうとすると必然的にデータ分析をしなければならない。目の前の業務課題を解決するために、その日に当たった不明点は家に帰って必ずわかるようにして次の日を迎えるというのを繰り返してきて、今に至っています。


真鍋:
苦手分野を克服されて、DX推進部長に!なかなかできることではないですよね。
DXの取り組みを社内に浸透させていくために、どのような取り組みをされていらっしゃいますか?

畑島:
まず、DX推進部のメンバーとして、各部署からITに強い人材に兼務で加わってもらっています。それぞれの部署が自分ゴトとしてDXに取り組める体制にすることで、全社をスムーズに巻き込めるようになりました。

様々なITツールの使い方やRPA(Robotic Process Automation)、ChatGPTなどをテーマに、私が講師になり毎月社内研修を行っています。社内の人たちとのコミュニケーションを通じて、「テクノロジーを使ってこんなこともできるんだ」と気付いてもらえる環境を作っているんです。

フェズさんとの取り組みの中でも、直接現場の人たちと会話しながら進めていただいたプロジェクトが多々ありました。
例えば、バイヤーと意見交換しながら開発されたBIツールが「Urumo Shopper」です。現場の意見が取り入れられた使いやすいツールだなと思います。
また、データを適正に管理・活用していくための「Urumo PrivPro.」では、社内のルールづくりや研修などをフェズの法務部長である池津さんに伴走いただいて、DX推進の土台をつくることができました。

こうした取り組みを通じて、当社でもこんなことができるんだ、という選択肢や想像力が広がり、少しずつ社内文化として浸透してきている感覚がありますね。

あと、今回の研修も、私はもちろん社内にも良い刺激になっていますよ。
フェズさんの新卒メンバーは、データサイエンスやマーケティングを大学院等で学んできた人材です。普段、データ分析に関する専門的な話はなかなかできないので、全く違ったアプローチ方法を教えてもらえたり、新しい視点で意見をもらえたりして、たくさん学ばせてもらっています。
皆さん、素直でガッツがあるので社内でも人気者ですよ。特に店舗スタッフは、一生懸命働く姿に心を打たれたみたいで、店舗研修が終わるときに寂しがっていました。

(新卒メンバーの店舗研修にご協力いただいた、南大橋店)

単なる省力化ではない、新生堂薬局が描くDXの先にある未来

真鍋:
御社のDX戦略について、注力ポイントを教えてください。

畑島:
「DX」というと、機械化とかAI化によって省力化することにチャレンジされる企業が多いと思うんです。人口が減少していく中、人の工数を削減できれば価格も下げられるし、それはそれで良い戦術だとは思います。

当社の目指すDXは、単純な省力化によって人を減らすのではなく、テクノロジーの力で対物業務の効率化や対人業務の質を向上させることで「地域一番のヘルスケアステーション」になることを目的としています。
店舗業務においては、品出しや棚替えのような対物業務に結構な時間を費やしています。こういった業務はできるだけ効率化・省力化すればいい。
一方で、医薬品や化粧品などの提供においては、本来薬局としてあるべきお客様とのコミュニケーションがとれるようにしていきたいんです。


真鍋:
具体的には、どのようなコミュニケーションが求められているのでしょうか。

畑島:
お客様がご自身の判断で薬を簡単に買えるようになり、軽度な不調は自分で治そうという流れがあります。
しかし、適切なタイミングで適切な薬が飲めない、体質に合わない薬を飲んでしまう、本来であれば早期に病院へ行くべき症状に気付けず治療が遅れてしまう、といったリスクもあり、それが原因で亡くなられる方もいらっしゃいます。
ドラッグストアの役割は、お客様とのコミュニケーションを通してそのようなリスクをなくし、地域の方々の健康をサポートしていくことだと考えています

例えば、健康相談の際のカウンセリング履歴や一般用医薬品・健康食品の購買履歴を統合的に管理する『健康台帳®』などのシステムを活用し、それぞれのお客様にとって適切な健康管理や必要な医療受診を提案する取り組みを始めています。
このノウハウ(受診勧奨システム及び受診勧奨方法)は特許も取得していて、最終的には医療機関との連携によって、社会保障費の増大防止に貢献することを目指しています。


真鍋:
たしかに、手軽に薬が買えるようになった半面、本当に自分に合ったものが選べているのかは不安です。生活に密着したドラッグストアで相談できると安心です。
他にも、御社では自治体と連携したり、商品ロス削減を目的としたアウトレットショップを立ち上げるなど、ソーシャルグッドな取り組みにも積極的ですよね。

畑島:
いろんな自治体と連携させていただいていると、健康促進や地域活性化など様々なお悩みをお持ちです。例えば、地域イベントに弊社の管理栄養士を派遣して測定会を行うなど、場所や知識の提供をしています。

販売期限が過ぎても問題なく食べられるものや、流通過程でパッケージ等に傷が入ったもの、返品等により残ってしまったものなど、廃棄予定の商品を格安で販売するアウトレットショップ『エコレットプラス』も展開しています。先日9月1日には、3号店として「エコレットプラス トリアス久山店」がオープンしました。

(9月1日にオープンした、エコレットプラス トリアス久山店)

真鍋:
地域社会に根ざした、御社ならではのお取り組みですね。

畑島:
DX戦略においては、お客様が利用し続けたい店舗にするための取り組みにも注力しています。
店頭で最適なクーポンを発行するポイントカード連動型クーポン発券機や、買い物を快適にするスマホレジ、スマホでの処方箋予約、ほぼすべてのスマホ決済に対応するなど、その精度を高めるためにDMP(Data Management Platform)による多角的なデータ分析を行っています。

真鍋:
DMPの構築についても、フェズが担当させていただいていますね。
最後に、御社のDX戦略を実行・実現させていくために、フェズにご期待いただいていることをお聞かせください。

畑島:
今回構築いただいた新たなDMP環境を活用することで、データ分析が加速度的に速くなっていくと思います。
現状、弊社内にはデータサイエンティストはいないので、データ分析や活用に関する高度な知見を御社に共有いただきつつ、社内教育を含めて引き続き伴走していただきたいなと思っています。

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データ分析・データ活用の重要性に早くから着目され、DXの先にある「地域一番のヘルスケアステーション」を目指して取り組まれている新生堂薬局様。
そのパートナーとして、フェズ自身もより進化していかなければと感じる取材でした。
畑島様、金子様、ありがとうございました。

次回は、研修を終えたメンバーのインタビューをお届けします。お楽しみに!