【対談:前編】Urumoソリューション開発事業責任者×デザイナー、リテイルテックの未来に懸ける思いを語る

開発ストーリー
【対談:前編】Urumoソリューション開発事業責任者×デザイナー、リテイルテックの未来に懸ける思いを語る
目次

先日10月に記者発表会でローンチしたUrumo OMO。
その根幹を築くUrumo。このUrumoとは、「出かけたくなる、書いたくなる、をもっと」をコンセプトにフェズが今まで小売・メーカー・消費者の三者に向き合った知見を元に生み出された、新しい形のプラットフォームである。店舗での売上が本質的に上がるビジネスモデルを作り、データ分析からアクションの提示、さらにはアクションの実行までを一気通貫で出来るプラットフォームを構築してきました。
こうしたUrumoのアイディアは何処から生まれ、どの様に発展させていったのでしょうか。今回は、開発に携わったお二人を取材しました。(後編はこちら

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青野 紳三郎
静岡県出身。2014年慶應義塾大学経済学部を卒業した後、Google 合同会社に入社。新規顧客開発部にて広告運用、ウェブ解析支援を経験したのち、アジア太平洋地域の Google ショッピング広告のプロダクト責任者として、ビジネス開発に従事。2017年にフェズに参画し、現職。
山野良介
千葉大学 教育学部 卒業後、千葉県公立学校教諭として教育の現場に携わり伝える力、人を動かすコミュニケーションデザインについて素地を養う。その後IT業界へ働く環境を変え、エンジニア、UX/UIデザインとキャリアを横断し、現在は株式会社フェズのチーフデザイナーとしてプロダクトデザインやEXデザインに従事。


Urumoというサービスは何を変えるのか?

青野「僕はフェズに入社する前、WEB広告の運用サポートやウェブ解析の手伝いをしていました。その中で、新規リード獲得のための広告を最適化していったら売上が上がった……という仕事の経験が原体験になっています。

多くの広告代理店は、短期の新規獲得数を追います。これは決して悪いことではないんですが、短期的な成果を追い求めるあまり広告配信のムダが生じる、ということはよくあることです。いくらリードを獲得しても、購買につながらないと意味がない。仕事をしていく中で、短期的な成果だけでなく、継続率やLTVから広告を最適化していくと、売上そのものが上がる、という気付きがありました」

山野「確かに世の中では効果が見えない広告、または可視化されていない広告は多いですよね。なんでこれが自分に配信されたんだろう? みたいな」

青野「そうなんですよ。僕は広告主だけじゃなくて、メディア・消費者を含め全員の関係がよくなることを目指したかったんです。効果が見えなかった部分の広告を減らしたら、かえってメディアを訪問する人が増えて、収益が生まれる。これを大切にしたいな、と感じていました。

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リテイルテックの業界に置き換えると、小売・メーカー・消費者、この三方の関係をよくすることが重要です。Urumoの構想はそこから生まれました。メーカーさんが普段出されている広告を、小売様のデータを元に最適化してあげると、適切な消費者に情報が届く。消費者も欲しい情報を的確に目にすることができて無駄がない。まさに三方良しの状態です」


開発の経緯を振り返って見えたもの

Urumoの構想が生まれてから、リリースまでプロジェクト初期には様々な工夫や苦労があったと言う。

青野「Urumoは、小売様から購買のデータを預からせていただくという仕組みです。逆に言うと、このデータをどれだけ預からせていただけるか、そしてどうやって見やすく調整していくか……この部分が最も大変でした。

僕もプロジェクトの初期からデータを小売様から預かることで、いかに小売様の役に立っていけるかに奔走してきました。あくまでもフェズが目指すのは、消費に関わる多くの人たちが利益を上げ、良いものを手に入れて、幸せになること。そうなったときに、”一緒にビジネスをしていこう”と、開発初期の段階からUrumoに手を貸してくださった小売様には感謝しか有りません」

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山野「僕がジョインしたときは、データを預かり整理するためにいろいろやっていましたよね」

青野「そうですね。大切な小売様のデータを預からせていただいたとしても、それをきちんと小売様の役に立つ形で 活用できないと意味がありません。データを簡単に見えるようにすることが肝心でした。流通支援チームという社内のメンバーが営業担当をしてくれたので、データを預からせていただくと同時にどのように活用していくのか、初期は頭を悩ませましたね」


Urumo開発リーダーとしてのこだわり

開発初期、Urumoにより良いアイディアをもたらすため、青野は一週間ほど実際のドラッグストアで店舗の仕事を経験した。

青野「現場の方の動きと、消費者さんの動きをしっかり見たかったんです」

山野「どこが面白かったですか?」

青野「買い物がオンラインにかなり代替された時代ですが、消費者さんは店舗で”ついで買い”をするんです。ECではほとんどついでに買う、という行動は観測されませんが、オフラインの実店舗ではまだまだ発生してるんですよね。ECの時代と言われていますが、95%はオフラインでの購入です。でも、これからの時代、電子決済の普及やスマホでのポイント管理で必ずオンラインは重要な要素を担ってくる。それをサポートする存在として、Urumoを位置づけていきたいですね」

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山野「他になにか驚いたことって有りましたか?」

青野「地方の小売店って、店員さんとお客さんのコミュニケーション量が多いんですよ。近所に住んでいて、よく来る人達はみんな顔見知り。美容部員さんとかもそうですが、接客によって売上が変わるのはオフラインの良さですね。実感しました」

山野「たしかにそうですよね。プロダクトにその経験は生かされましたか?」

青野「近くに住んでいる人がやってきて、安く買い物ができる。これが小売店の大原則です。その大原則を捨てた施策を打ったり、無視したプロダクトを創りたくない、というのはこだわってきました。店舗に行ったからこそ、消費者さんの気持ちがよくわかりました」

山野「一次情報から開発したプロダクト、絶対いいですよね。日本はいわゆる”withコロナ”の時代に突入して、消費行動も変わってきます。コロナって、Urumoにはどのような影響がありましたか?」

青野「コロナで苦しくなった時に、データから分析された打ち手が分かる……という良いパートナーになっていかなくてはならない、と感じています。売上が良いときには”なんか調子いいよね”で良いけれど、コロナの影響はビジネスにおける先行き不透明さを世の中にもたらしています。打ち手が何なのか、データが示してあげる……そういう、地に足ついたマーケティングや販売の一助となりたいです」

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今回の前編では、リテイルテックの業界における広告の非効率が起きているという課題に対して、小売・メーカー・消費者、の三方よしの関係をつくり出すために、Urumoが開発されたこと。そのために、小売様の現場で一次情報に触れながら、こだわりのプロトタイプ開発を進めてきたことについて振り返りました。

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次回はUrumoのUXデザイナーである山野良介さんから、Urumoのロゴに込められた想いと、UI・UXデザインの視点から語っていきます。

後編はこちら